【2023年8月公式ブログ ジルコニア セラミック クラウンの色表現と色合わせテクニック vol.2】
2023.08.01
こんにちは、知多郡東浦町にある”医療法人 慈朋会 あしま歯科クリニック”の歯科技工士の中川です。
平素より当院を【かかりつけ歯科医院】としてくださり誠にありがとうございます。
今回は、私がジルコニア セラミック クラウンを製作する際の基本的な製作ステップ(1~7)を”ジルコニア セラミック クラウンの色表現と色合わせテクニック”に触れながら紹介したいと思います。
1.ジルコニアフレームの調整
削り出しで得られたジルコニアフレームを削って厚みの調整をします。
2.パソコンを用いた目標歯(最終的なゴールを目指すための指標となる歯)の色の確認
簡単にステップを説明します。
①型取りの時に一眼レフカメラ(NIKON D3400)で撮影した患者様の口腔内写真をAppleのKeynote(プレゼンテーション用アプリ)に貼り付ける。(写真8)
②シェードガイドの部分だけトリミングする。(写真8-A.B)
③目標歯の部分も②と同様にトリミングして、画像を上下逆さにして、その画像をコピーする。(写真8-C.D.E.F)
④シェードガイドの部分だけをトリミングしたページに、③でコピーした画像をペーストして、4枚に複製する。(写真8-G.H.I)
⑤ シェードガイドの上に、④で複製した目標歯の画像を右半分に貼り付けていく。(写真8-J)
⑥ ⑤で作った画像を複製して下に移動させる。(写真8-K.L)
⑦ ⑥で複製した下の画像だけ白黒に加工する。(写真8-M)
白黒に画像を加工したのは、カラーだと色の明るさを把握するのが困難だからです。
⑧目標歯の「明度・彩度・色相・透明感」をメモに書き出す。(写真8-N)
このメモは、ジルコニア セラミック クラウンを製作した当時に書いたものです。落書きのようなメモですが、セラミックパウダーの選択とステイン材の配合は必ずこのメモを確認しながら行います。
①〜⑦の作業を行い、⑦のような画像を作ることで、目標歯の色味を構成する「明度・彩度・色相・透明感」を捉えることが可能になり、精度の高い比色が行えます。この作業は色合わせが必要なケース、全てで実践しています。(写真9-A.B)
3.ジルコニアフレームへのステイニング(ステイン材を塗ること)を行なって焼成(写真10)
4.一層目のセラミックの築盛と焼成(写真11)
水と混ぜたセラミックパウダーをジルコニアフレームの表面に盛り足していきます。そして専用の炉(写真12)に入れて940℃で焼きます。
5.焼き上がった一層目のセラミックの表面にステイニングして焼成(写真13)
ここでは歯のベースになる色味を再現していきます。
6.二層目のセラミックの築盛と焼成(写真14)
7.焼き上がった二層目のセラミックの表面にステイニングして焼成(写真15)
ここでは歯のベースになる色味と歯の内部構造(象牙質)を再現していきます。
*まとめ*
今月は、ジルコニア セラミック クラウンの製作過程(1~7)についてお話しさせていただきました。特に製作ステップ2の”パソコンを用いた目標歯の色の確認”についてはかなり詳しい内容になりました。”パソコンを用いた目標歯の色の確認”は、シェードガイドが写り込んだ口腔内写真(歯科医院から渡されたものでもOK)とパソコン(Mac以外でもOK)があればすぐに実践できます。タイムパフォーマンスが高いので、是非一度試してみてください。
製作ステップ2の”パソコンを用いた目標歯の色の確認”を、普段通りのスピードで行った際のPC画面を収録しました。(動画1)
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長文となりましたが、今月も当院のブログに
お付き合いいただき、ありがとうございます。