あしま歯科クリニック公式スタッフブログ
【1月のブログ 知覚過敏について】

みなさま、あけましておめでとうございます。
昨年は新型コロナウイルスにより生活ががらりと変わった一年でした。
当院でも、患者さんへの検温・手指消毒・治療前のうがいなどの感染対策に力を入れました。今年も気が抜けない一年になりそうです。
当院もさらなる感染対策を徹底してまいります。
本年もよろしくお願いいたします。
みなさまこんにちは、東浦町医療法人慈朋会あしま歯科クリニック歯科衛生士の竹内です。
11月は、歯科衛生士石原による顎関節症のセルフケアについて説明させていいただきました。
今月は「知覚過敏」についてお話ししていきます。
一年で一番寒い時期になり、お口をゆすぐ時や外の冷気にあたり歯がしみる、痛いと感じることはありませんか?
知覚過敏は、虫歯や歯の神経に異常がないのに、冷たい物や風で歯が痛む症状のことをいいます。
一時的な痛みのため、刺激がなくなれば治まります。
《知覚過敏の原因》
なぜ刺激により痛みが引き起こされるのでしょうか。
それは歯の構造にあります。
歯の表層はエナメル質、内部は象牙質、
中心に歯髄(神経)があります。
エナメル質は体の中で最も硬い組織であり
神経へ刺激が伝わりづらい構造になっています。
一方、象牙質は軟らかく、象牙細管という管があり、
神経に刺激が伝わります。
通常であれば硬いエナメル質に覆われているため、刺激が伝わりづらいです。
何らかの原因で象牙質が露出し、刺激が加わることにより知覚過敏が起きます。
ではなぜ象牙質が露出するのでしょうか。
主に「歯の摩耗」と「歯肉の退縮」です。
歯の摩耗の原因

・歯ぎしりやくいしばり
睡眠中の無意識な歯ぎしりやくいしばりにより、歯に強い力が加わります。
それによりエナメル質がすり減ってしまったり、
歯の根元周辺が局所的にえぐれてしまう“くさび状欠損”
が起こり象牙質が露出します。

・不適切なブラッシング
硬すぎる歯ブラシの使用や、強すぎる力で磨くことですり減ります。
歯肉の退縮(後退)の原因
〇歯周病
細菌が原因で起こる歯肉の病気です。
歯肉や歯を支えている骨が破壊されることにより歯肉が退縮し象牙質が露出します。
〇加齢
多くの場合、歯肉は加齢に伴って下がってしまいます。
〇不適切なブラッシング
先ほどと同じように、ブラシによる過度な力が加わると歯肉にも負担がかかり、退縮の原因になります。
知覚過敏の治療法
〇歯の再石灰化を促す
軽度な知覚過敏の場合、エナメル質の再石灰化を促進することで知覚過敏が治まることもあります。正しいブラッシングにより、負担を減らし汚れを取り除き、その上で歯の再石灰化を促進する成分の「フッ素」や「薬用ハイドロキシアパタイト」が含まれた歯磨き粉を使用することでエナメル質を強化することができます
〇知覚過敏用の歯磨き粉を使う
自宅での治療方法として、知覚過敏用の歯磨き粉を使用する方法があります。
歯磨き粉に含まれる「硝酸カリウム」がカリウムイオンとなり、歯髄神経のまわりにイオンバリアをつくり
神経の細胞が興奮しにくくさせます。
硝酸カリウムが含まれる歯磨き粉を継続して使うことで知覚過敏の改善効果があります
〇治療薬の塗布・コーティング
歯科医院での治療として一般的に行われるのが、治療薬の塗布・コーティングです。
象牙細管を封鎖することで、歯の神経への刺激の伝達が遮断されます。
歯質のカルシウムと反応し、生体親和性のある不溶性のシュウ酸カルシウム結晶をつくるシュウ酸や
歯質と同じ様な成分ハイドロキシアパタイトを塗布する治療があります。
〇露出した象牙質を埋める
くさび状欠損などの大きく欠けている、露出している部分を歯科用の樹脂で埋めて刺激を遮断します。
〇歯ぎしりやくいしばり予防のマウスピースを作る
就寝時の歯ぎしりやくいしばりのある方には、専用のマウスピースを作成します。
無意識にしてしまう歯ぎしりやくいしばりは意識だけでは改善できません。
マウスピースを就寝時に着用することにより、歯への負担を軽減します。
〇神経の治療をする
ほとんどの場合これまでの方法で改善しますが、改善されない重度の知覚過敏の場合、神経を取る処置をします。
神経を取ることにより知覚過敏は改善されますが、歯が割れやすくなるなどのデメリットもあります。
極力、神経を残す方法で対応します。
まずはお気軽に歯科医師や歯科衛生士にお尋ねください。
お口の中のトラブルは、早めの発見により最小限の治療で済ますことができます。
また、トラブルが起きないように定期的な検診も重要です。
参照:公益財団法人ライオン歯科衛生研究所
https://www.lion-dent-health.or.jp/labo/article/knowledge/01.htm
2021-01-13 09:46:17
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【5月のブログ マスクの正しい付け方と、うがいの仕方】
桜の季節もいつしか過ぎ葉桜の季節となりました。
空気が乾燥し、風邪やさまざまな感染症が流行している昨今

花粉だけでなく、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により
外へでると感染予防のためにマスクをしている方が日常風景となりつつあります。
皆さん、こんにちは。 東浦町 医療法人 慈朋会 あしま歯科クリニック 歯科衛生士の横井です。
4月の初旬に投稿したブログは、歯科衛生士 石原による【インフルエンザ予防と歯周病菌】でした。
今回は、予防三原則の一つである【病原体の侵入経路を遮断する】


感染経路対策 →手洗い(3月のブログに記載)、マスク、うがい、人ごみを避けるの中で
【正しいマスクの付け方と うがいの仕方】についてお話をしていこうと思います。
新型コロナウイルス(COVID-19)が世界各地で大流行の一途を辿ってます。
最近、新型コロナウイルス(COVID-19)による対策方法が色々提示されている中で、
マスクには『予防効果が無いのではないか?』との声があがるようになってきました。
先に結論を述べておくと、今や新型コロナウイルス(COVID-19)は無症状感染者も出ており、三次感染、四次感染と感染ルートが追えない状況をい考えれば、自分は感染してないという保証は何もありません。
したがって、マスクは拡大予防の為にも必須です。
マスクの役割マスクの正しいつけ方を確認する前に、まずはマスクがどのような役割を果たしているのかについてご説明していきます。

風邪予防や口元の保湿に
マスクをつけることの第一の目的は、自分を風邪や感染症から守るためという方が多いはずですが、
風邪などのウイルスは、細菌と違って湿度が低いと生存時間が長くなるため
空気が乾燥する時期にマスクをつけて口元を保湿しておく事で
風邪予防の効果が期待できると言われています。
自分が風邪をひいた際のエチケットに
風邪予防だけでなく、自分が風邪をひいてるとき、飛沫感染を防ぐためのエチケットとしてもマスクは大切です。飛沫感染とは、咳やくしゃみなどから周囲へ飛び散る飛沫に含まれる病原体が、人の口や鼻などの粘膜に付着して感染することを言います。
ウイルスは、直径0.0001㎜ほどであるため、
一般的なマスクの網目よりも小さく、ウイルスそのものを防ぐことは難しいと言われています。
しかし、ウイルスを含む水分である飛沫は直径0.005㎜ほどとウイルスよりも大きくマスクの網目にも引っ掛かります。

このことから、風邪などに感染した本人が、飛沫を外へ出さないためにマスクを着用することは、周囲への感染予防にも効果があるといえるのです。
【マスクの正しい使いかた】
ここからは、マスクの正しい使い方を、付け方、外し方、廃棄方法をそれぞれご説明いたします。
まず、マスクをつける前には、必ず手を洗って清潔な状態にしておきましょう。

①マスクの上下を確認する
マスクの表裏はメーカーによっても見分け方が異なりますが、特に裏表がパッケージの記載されていない場合は、ゴムひもがついてるほうが表になることが多いようです。

また、マスクの上下の確認方法は、鼻周りにフィットさせるための針金が入ってるほうが上になります。プリーツなど、マスクの折り目がある場合は、そのプリーツの山の部分が下方向になります。
②鼻、口、顎を覆う

③耳のゴム紐を調整する
ゆるすぎず、きつすぎない物がおすすめです。
(ゆるいようであれば、縛るなどして調整しましょう)
【マスクの外し方】
使用後のマスクには、ウイルスが付着している可能性が高くなります。
そのため、マスクを外す外す際は、フィルターを手で触らないようにゴムひもの部分をもつようにしましょう。

【マスクの廃棄方法】
マスクを外したら、ゴムひも部分だけを持ち、蓋付きのゴミ箱に捨てましょう。
蓋なしのゴミ箱であれば、マスクをビニール袋に入れて口を閉じてから廃棄するのがおすすめです。
マスクを廃棄した後は、手にウイルスが付着している可能性もあるため、石鹸を使ってしっかり手を洗いましょう。
アルコール消毒などで、手指を消毒するのもよいでしょう。

【うがいについて】
風邪やインフルエンザの感染は、喉などから菌、ウイルスが侵入することにより起こります。
うがいをする事によって、風邪の原因となるウイルスや菌を洗い流し
侵入を防ぐ事ができます。
さらに、うがいによって喉が加湿されるため、
その後に菌が喉の粘膜に付着するのを防ぎます。
ある調査では、うがいをしないグループと1日2回水でうがいをしたグループを比較し、水でうがいした方が
風邪をひく率が約40%も低かったという結果が出たそうです。
続いて、うがいの手順と注意点についてご説明いたします。
【うがいの手順】

①まずは、口の中を清潔な状態にします。口に水を含み、ブクブクと口の中全体をすすぎます。全体がすすげるように頬を動かしながら、少し強めにすすぎましょう。
※①は上を向かずに行います。
②口の中の水をペッと吐き出します。※すっきりしない時は①.②を2~3回繰り返します。
③ 水またはうがい薬を口に含み、口を閉じてぐっと上をむきます。
喉の奥まで届くように意識して『ガラガラガラ』と声を出しながら15秒ほどうがいをします。
④口の中の水をペッと吐き出します。
⑤もう一度③~④を繰り返します。
⑥最後に、口に水を含んで、口の中全体を軽くすすいで完了です。※うがい薬を使用する際は説明書きに従って適正な濃度に薄めて使用してください。
【うがい薬と水を使い分けましょう】
うがいは、【うがい薬でのうがい】【水でのうがい】の2つに分かれます。
風邪をひいた時。風邪予防には、うがい薬!と思う方も多いと思いますが、
水、うがい薬は、それぞれ目的や役割が異なるので
以下のように使い分けるとよいでしょう。
また、水ではなく食塩水や緑茶などのお茶でうがいするという方法もあります。
食物なので、うがい薬の代わりというよりは、水と同様に風邪予防などに使用しましょう。
うがい薬でのうがい
喉に痛み、腫れ、違和感などがある時
風邪やインフルエンザが流行している時期 など
うがい薬でのうがいは長期間使い続けるのではなく、なにかしらの体調の変化が出ている時やインフルエンザが流行していて心配という
時期など、スポット的なアイテムとして使用するようにしましょう 。
うがい薬には、殺菌作用や喉の痛みを鎮める働きがありますので、風邪気味の時やインフルエンザが気になる時期、
喉に痛みがある時などに使うことが一般的です。
医師の指示に従って適切に使うことが大切です。

水うがい、お茶でのうがいなどの日常うがい
日常うがいは、帰宅後だけでなく、勤務先、学校などに到着した際や、食事の前、
掃除をした後などのタイミングで行いましょう。
乾燥が気になる時や、喉に違和感がある時などにも日常うがいは効果的です。
うがいができない小さな子供はこまめな水分補給を
特にガラガラうがいは小さな子供には水やお茶などのこまめな水分補給でうがいの代わりにしましょう。
水分を摂取することで、細菌やウイルスも一緒に体内に入ってしまうのでは?とお思いかもしれませんが、胃に流れこんで胃酸によって殺菌されるので心配ありません。
もちろん、子供だけでなく大人も、こまめに水分補給することは同様な効果がえられます。
水でも構いませんが特に緑茶がおすすめ。

2010年の静岡県立大学薬学部と社会福祉法人白十字会との共同研究により、緑茶を飲む事でインフルエンザ予防に効果があるとの結果が発表されています。
研究によると、緑茶に含まれるカテキンとテアニンがインフルエンザの発症を減少させる効果があるのだそうです。
毎回急須でいれるのが面倒なら、ティーバックやペットボトルの緑茶でも問題ありません。
上手に使って手軽にインフルエンザ予防にお役立てください。

ここまで風邪予防にうがいは効果的だと説明してきましたが、
厚生労働省が呼びかけるインフルエンザ予防対策は、
- 流行前の予防接種
- 外出後の手洗い等
- 適度な湿度の保持
- 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
- 人ごみや繁華街への外出を控える。【引用 『厚生労働省 インフルエンザQ&A』】
の5点であり、とくにうがいは励行されてないことがわかります。
理由としては、
インフルエンザウイルスは粘膜に付着してから数分~20分程度で体内に侵入してしまうため、うがいで洗い流す方法は現実的でないという点が挙げられます。
しかし、③
適度な湿度の保持として、マスクやうがい、
こまめな水分補給は役立ちます。
【専門家による様々なマスク論争】
マスクに関する効果の有効性に関して、
科学的エビデンスが少ないのが現状です
【マスクが効果がないと考える人の意見】
※マスクの隙間が5μmに対して、ウイルスは0.1μmと大きさが小さく
世界保健機構(WHO)発行の感染予防マニュアルにも
《マスクによる上気道感染の予防効果にははっきりとしたエビデンスはない》と記載されているためマスクの効果には疑問が残るとのことでした。
しかし、近年
香港大学の研究グループがマスク着用の有効性に関して発表し
通常の【風邪】のコロナウイルスに感染した患者が、一般的に使われる使い捨てのマスクをすると、ウイルスはマスクの外に出なかったとの実験結果を発表し
新型コロナウイルスでも、
患者がマスクをすることで感染拡大のスピードを抑えられる可能性を示唆しています。
実際アメリカやWHOでは当初、マスクはあまり重要ではないという立場だったのが
最近になってマスクの着用を国民に義務付けるなど一定の効果を認めています。
アメリカのCDC=疾病対策センターは、『新型コロナウイルス対策でマスクは不要という徒来の見解を修正し、着用を認める』という新たな指針を発表しています。
マスク論争の現状での結論
マスクに関する効果の有効性に関して、科学的エビデンスが少ないのが現状ですが
香港大学での発表にもある通り、近年その効果の有効性に関しても認められつつあります。
厚生労働省も『他人にうつさない(拡散予防)』ために必要であると述べていることや、
直接顔を手で触らないという意味、飛散による粒の予防、喉の感染を防ぐという観点から
マスクには一定の効果があると考えています。
マスクがウイルスを外に出さないという研究結果を正しいとすれば、マスクをつける人が増えれば増えるほど、その拡散予防効果が増すといえます。
感染予防について関心が高まる昨今、手洗い、うがい、マスクなどの重要性について
3、4、5月のブログでお話をさせていただきました。
ご家庭でも活用できる事も沢山、発信できればと思います。
【患者様へ】
新型コロナウイルス(COVID-19)に関する対応について
当院におきましては、患者様とチームメンバー(従業員)の健康と安全を最重視しており
施設の衛生環境を最高水準に保つよう全力で取り組んでおります。
来院時には全ての患者様、来院者様に検温を行っておりますので、ご理解ご協力の程よろしくお願い致します。
2020-05-19 17:19:44
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三寒四温の言葉通り、冬が行き戻りしている昨今、体調管理が難しい時期になりますがお変わりありませんか?
東浦町 医療法人 慈朋会 あしま歯科クリニック 歯科衛生士の杉浦です。
平素より当院にご来院いただき誠にありがとうございます。
前回のブログは歯科衛生士 小川による【インプラントを長持ちさせる秘訣】でした。
今回は世間を騒がせている、新型コロナウイルス感染症により、より重要となっています感染対策について、特に誰もができることのついて述べさせてください。
感染対策で手洗いが基本なワケ
人が罹患(りかん)する要因の多くは、手に付着した病原微生物《細菌、ウイルス等》が物品に付着し、そこからまた手を介して鼻や口、目から体内に入ることです。
多くの病原微生物は、電車のつり革、手すり、エレベーターのボタン、ドアノブを介して
手から手へと拡がり、それが感染拡大のきっかけとなります。
つまり、手は見た目に汚れていなくても病原性微生物が付着している可能性があるため、石鹸と流水を用いてキレイに洗い流す習慣をつける事が、感染対策の基本であり、最も重要な手段といえるのです。
ちなみにあしま歯科クリニックでは、患者さまが安心して院内ですごせるよう
1時間おきにスタッフが靴箱、待合室、キッズコーナー、お手洗い、ドアノブ等を
清掃消毒を実施しております。
正しい手洗いを方法を知る
手洗いは《日常手洗い》《衛生的手洗い》《手術時手洗い》の3つに分けられTPOに合わせて使い分けられています。

【日常手洗い】
食事の前やトイレの後など日常的な行動に伴った手洗い法。
石鹸と流水を使用して汚れや有機物及び通過菌の一部を除去します。
しっかりと石鹸液を泡立てる事泡立てる事で
手全体や手のシワなどに石鹸液がいきわたります。
正しく手洗いするためには30秒かかります。30秒の手洗いを身に付けるために、タイマーなど置いて実施してみる方法もあります。30秒間の手洗いを実感してみてください。
2度洗い
2回手洗いを実施する事でウイルスの除去効果があるというデータもあります。
特に冬場のウイルス流行時のトイレの後は2回手洗いの実施をお勧めします。
【衛生的手洗い】
全ての通過菌を除去あるいは殺菌を目的としています。
食品を取り扱う仕事や、医療、福祉に関係する人に必要な手洗い方法で、洗って、拭いて、消毒まで行い、感染予防や食中毒予防のために通過菌を全て除去することを目的としています。
石鹸液による日常の手洗いでも、正しい手洗い方法を行えば衛生的手洗いレベルになりますが、実際はもっと短い時間しか行われておらず、見た目の汚れがないとどうしても疎かになりがちです。アルコール手指消毒剤は、短時間で細菌からウイルスまで幅広い微生物に有効で、通過菌に対する効果が優れています。
石鹸液だけの手洗いでは落としきれずに残った微生物もアルコール消毒液により除去できます。


親指や指先、指の間などは手洗いが不十分になりやすいと報告されてます。
手を漠然と洗うのではなく、指の間、手首、爪の間など含め、丁寧にこすり洗う必要があります。
また、衛生的手洗いを行う上で爪は短くし指輪や時計は外しましょう。
【手術時手洗い】
今からは現在の医療界での常識についてお話していきたいと思います。
手術時手洗いの歴史
まず最初に手術のときの手洗いの歴史について簡単にお話していこうと思います。
医療における手術時の手洗いの歴史は、まだPasteurによる細菌学の概念のない
1840年代に始まりました。
当時は、周産期死亡の重要な原因であった産褥熱の発症率が約30%と非常に高い時代でした。
Semmelweisが、塩素水とブラシを用いて手洗いをする事で、産褥熱の発症率が2~3%まで低下する事を示したのが最初でした。
しかし、これは実は広く受け入れられる事はありませんでした。
その後、細菌学が広まったこともあって、ListerがSemmelweisの手洗いを再評価して外科学に取り込んだことで一般的なものとして定着したと言われています。
それから160年の時を経て、感染制御の環境は大きく変わり、2000年代に手洗いの方法は初めて変化したのです。
【現在の手術時手洗い方法】
では現在の手洗い方法はどのように行うのがスタンダードなのでしょうか
ブラシを用いる手洗い方法をスクラブ法といいます。
これに対して、ブラシを使用しない揉み洗い法、擦式消毒用アルコール製剤を手指から前腕に十分に擦り込むラビング法があります。
これが現在、推奨されている方法です
スクラブ法とラビング法の比較により、消毒効果に差がない事と手術部位感染(surgical site infection : SSI)の発症率に差がないことが2000年以降いくつもの論文で示されており、もはや医学会の常識となっています。
(小林 寛伊.LISTER CLUB 学術集会記録.2003)
(Parienti JJ,et al.Jama.2002)
(深田 民人.日外感染症.2006)
(Palmer JS.Urology.2006)
さらに上の論文では
ブラシによる皮膚のダメージはかえって手が荒れる原因となり、細菌の増殖によりSSIの発生率を高める危険性がある
ことが指摘されています。
現在では、これらのことは医療現場に広く受け入れられている状況であると言われていますが、ひと昔の実臨床ではブラシを用いてゴシゴシと長時間手洗いをしている風景は外科ではまだまだ多いようで、そのなごりが現在も続いていることがあるようです
(当時の手洗いは間違いだったのではなく最善の方法とし導入されていました)
現在の手洗いの方法
ラビング法 :①アルコール配合手指消毒薬を手指から前腕に十分に擦り込む方法
スクラビング法 :②抗菌性スクラブ製剤による 指先のみブラシを使用した、揉み洗いにアルコール擦式製剤を併用する方法
③石鹸液と流水による予備洗浄の後に、アルコール擦式製剤を使用する方法
この3つの方法であれば、いずれの方法でもよいとされています
(Parienti JJ,et al.Jama.2002)
(Rotter ML. J Hosp Infect.2001)
あしま歯科クリニックでの手洗いに使用する薬剤の紹介
4%クロルヘキシジングルコン酸塩製剤と
7.5%ポピドンヨード製剤を両者を採用しています。
抗菌スペクトルは7.5%ポピドンヨード製剤の方が広く、クロルヘキシジングルコン酸塩は皮膚と強い親和性があるため、持続性に優れていることが報告されています
(Larson EL ,et al. Am J Infact Control.1998)
(Larson EL ,et al. Am J Infact Contorol.1995)
理事長はディスポ―サブルブラシを使用した
スクラビング法②を採用し
薬剤による手荒れを防ぐためオペ担当歯科衛生士 横井は時間をかけ揉み洗いをする③を採用しているようです。
余談になりますが時間をかけて手洗いをする秘訣は好きな曲を心の中で数回繰り返すことで
決まった時間きちんと手を洗う工夫をしているとの事。
どんな曲が流れているのでしょうね。
あしま歯科クリニックでは最新のエビデンスをもとに、目的にあった手洗いが常にできるよう正しい知識と共通認識を持ち、
患者様に安心して治療をうけていただけるようスタッフ教育を行っております。

今回は手洗いについてのブログ内容になりましたが上記の手洗い手順は
ご家庭の石鹸でも【日常手洗い】として取り入れていただける内容ですので
お試しください。
2020-03-09 11:23:03
まだまだ寒さが厳しいですが、お風邪などお召しになっていませんか?
東浦町 医療法人 慈朋会 あしま歯科クリニック 歯科衛生士チーフの小川です。
平素より当院にご来院いただき誠にありがとうございます。
前回のブログは、歯科衛生士 下村による【インプラントの術前、術後の注意事項】でした。
今回はインプラントメンテナンス中に担当する患者様からよく尋ねられるご質問について
お答えしていこうと思います。
インプラントは天然歯と近い感覚で噛め、まるで自分の歯が蘇った使い心地であることから【第二の永久歯】と例えられることがあります。このように他の治療法と違った自然な使い心地がインプラント人気の大きな理由ではありますが、当然両者は同じものではありません。
インプラントを長持ちさせるためには両者の違いをよく把握しておくことが重要になってきます。
インプラントと天然歯の違いとして次のようなことがあげられます

―インプラントは虫歯にならない、しかしー
インプラントは、チタン製の人工歯根にセラミックなどの人工歯を被せたものです。このように全てが人工物ですので当然虫歯になる事はありません。
これは良い点ではあるのですが【虫歯にならない】ということで油断をしてしまい、歯磨きを怠って周囲に細菌が繁殖し、歯周病菌が感染すると天然歯同様にインプラントも周囲組織に炎症を引き起こします。インプラント周囲炎と呼ばれる状態です。お口の中が不衛生な状態はインプラントの寿命を縮めてしまうことがございます。
天然歯の歯周病予防と同様、インプラントも周囲炎の予防が大切であり
天然歯よりも細菌による防御システムが弱いため、プラークを取り除く毎日の歯磨きは一番の基本になるものです。
―インプラントは過度な咬合力(非機能的な力)によりダメージを受ける場合がございますー
天然歯の歯根は骨に直接埋まっているわけでなく歯槽骨との間に歯根膜という靱帯に支えられて埋まっています。この歯根膜はクッションの役割もしており噛んだ際の衝撃を緩和し異常な力(非機能的な力)がかかった場合に痛みを感じるなどして私たちに知らせてくれています。
一方でインプラント体と骨は直接強固に結合しています
これがインプラントの最大の特徴でもあり丈夫に歯を支える力となります

インプラントと天然歯は図のように構造がことなります
また、歯の噛み合わせというのは生涯同じではありません。
口腔内の状態は経年的に変化します。噛んでいるうちにだんだんと噛み合わせが変化することもあるわけです。
そのため噛み合わせが次第に変化すると、インプラントに過剰な力がかかるようになってしまうことがあります。
歯科医師は生理的動揺のある歯根膜のある天然歯、歯根膜のない揺れないインプラントとの全体の噛み合わせのバランスを見守る必要があります
就寝時に歯ぎしりやくいしばりといった癖がある場合にもインプラントに異常な力がかかり続けます。インプラントというのは通常の食事の際に噛む力(機能的な力)などでは問題ありませんが、異常な力(非機能的な力)にたいしては天然歯よりもダメージを受けやすいと言われています。
よって定期的な歯科医師による噛み合わせのチェックも大変重要になります
インプラントを長持ちさせるための秘訣
インプラントを長持ちさせるには
口腔内の環境をキレイに保つ事と、
インプラントにかかる力のコントロールをするという2つの事が非常に重要だといえます
あしま歯科クリニックでは歯科医師や院内歯科技工士とが(ブログの11月号にも一部紹介をしましたが)インプラントの埋入位置や噛み合わせ、被せ物の審美性、歯科衛生士と清掃性などを話し合い、共通認識を持ってインプラントを長持ちするよう適切に治療するよう理事長の指導のもと勉強会などの機会を持ちチームで治療をおこないます。
そして患者様ご自身でも、より長持ちするようこころがけて頂きたい秘訣をご紹介いたします。
①
歯磨きをきちんと丁寧に行う
毎日の歯磨きは一番の基本となるものです。
これが不十分ですとインプラントは本来の寿命より早くダメになってしまう可能性が高くなります。
インプラントの日常の歯磨きには特別な器具や材料は必要ありません。
基本的には自分の歯を磨くように歯ブラシ・歯間ブラシ・デンタルフロス等を使用しお手入れしていただければ大丈夫です。
注意すべきポイントとしてはやはり、汚れが溜まりやすい場所を重点的に行う、ということがあげられます。
汚れが溜まりやすいのは、天然歯も同様ですがインプラントの歯の根元、つまり歯と歯茎の境目です。
この部分に汚れが残らないよう心掛けてください。
歯ブラシの硬さはインプラントや歯茎を傷つけないよう《普通》または《柔らかめ》の硬さを選ぶようにしましょう。
患者さまに一番適した歯ブラシや歯間ブラシ、また使用方法などを担当歯科衛生士がご提案致しますので気軽にお尋ねください。
②
定期的なメインテナンスを欠かさない
インプラントを良好な状態で保ち続けるには歯科医院での定期的なメインテナンスが必須です。
これは天然の歯でも同じですが、定期的にインプラント部のチェック、噛み合わせのチェックを受け、
問題があれば治療や調整などを行い、
クリーニングで歯石や普段の歯磨きで落としきれない汚れを徹底的に落とし口腔内の環境を良好に保てるようにします。
あしま歯科クリニックでは、できれば2~4か月に一度の定期健診をお勧めしております。
③
歯ぎしりのコントロールをする
歯ぎしりの自覚は難しいですが、もし歯ぎしりやくいしばりをしている可能性がある場合はそのままにしてはいけません。
歯ぎしりによってインプラントに必要以上の力が加わり続けると、先述したようにそれがインプラントに
ダメージを与える要因になりえます。
歯ぎしりのほとんどは眠っている間に起こりますので、自覚があってもなかなかコントロールすることが難しいものです。
そのような場合には、歯ぎしりから歯を守るマウスピースを作成することをおすすめしております。
就寝時に装着するだけで脱着もご自身で容易に可能です。
不必要な負荷が天然歯にもインプラントにも掛からないよう、歯ぎしりの力から守るようにしましょう。
④
なるべく禁煙
タバコを吸うと、体にとっては様々なリスクが増大しますが、歯周病で歯を失うリスクも非常に高くなります。
これはインプラントにとっても全く同じ事がいえます。
タバコをお吸いになられる方はなるべく禁煙することをおすすめします。
⑤
健康的な生活を送る
身体の健康状態が悪くなると、抵抗力が落ち 歯周病などの感染症にかかりやすくなります。お口の中も、もちろん身体の一部です。
健康的な食生活や運動を心掛け 身体を健康に保つことで、インプラントもより長持ちしやすい環境となります。
今回は、インプラントについてフォーカスをあてましたが、患者様のご自分の天然の歯であれ、被せ物であれ、インプラントであれ上記に書いた【長持ちさせる秘訣】はほぼ同じになります。
より永く自分の歯をつかっていただけるよう、今後こうしたブログなどでも患者様に情報を発信してまいりたいと思います。
入れ歯、歯の被せもの、矯正、インプラント、歯のクリーニング、ホワイトニングなど
お口のなかで気になる事がございましたらお気軽にお問い合わせください。
余談にはなりますが、2020年3月1日は歯科衛生士国家試験の日になります。
全国の歯科衛生士のタマゴさん達は試験の追い込みの日々におわれている事でしょう。
未来の歯科衛生士と日々患者様と向き合い切磋琢磨できる日を大変心待ちにしております。
2020-02-12 16:27:23